城や都市を守る環状囲壁(Ringmauer)とはどんなもの?

環状囲壁とは、城や都市を取り囲んでいる城壁のことで、城の内側を守ります。

ベルクフリートともに、城のシルエットを決定する重要な要素の一つともなっています。

環状囲壁の中でも、囲んでいるものが城ではなく集落である場合は、市囲壁(Stadtmauer)と言います。

日本の城には、城壁に相当するものなんてないよね。似たようなものはありそうだけど…。

そう、日本の城には塀や土塁はあっても城壁はない。ここでは日本の城にはない城壁について、詳しく解説していくね。

目次

環状囲壁の特徴

環状囲壁は独立した構造物として、また、中にある建物の外壁の一部と一体化している城壁もあります。

城壁の形

城壁で囲まれた土地の形は、低地の平城の場合は正方形や長方形になっていることが多い。

しかし山城の場合は、山の形に応じて不規則な多角形になっていることが多い。

城壁の上の凸凹を胸壁(Zinnenmauer)

リームベルク教会(Lirmberg Kirche)の胸壁
リームベルク教会(Lirmberg Kirche)の胸壁

胸壁とは、城壁の上の凸凹です。

西洋の城の絵を書く時、城壁の上の部分を凸凹になっているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。あれです、あれ。あの凸凹のことを胸壁と言います。

凸部に身を隠しつつ、凹部から敵に矢を射る使い方をしました。

凸部に矢狭間が設けられていることもあり、矢狭間のある胸壁は狭間胸壁と呼ぶことがあります。

歩廊・城壁通路(Wehrgang)を使って行き来

城壁の上には、兵士たちが行き来できる通路があります。

ハールブルク城(Harburg)の歩廊
ハールブルク城(Harburg)の歩廊
Johannes Prockl, CC BY-SA 3.0 http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/, via Wikimedia Commons

城壁の内側に歩廊がある場合、城壁にはたいてい矢狭間や銃眼があり、敵を狙い撃ちしました。

張り出し歩廊

張り出し歩廊
張り出し歩廊
Sculwe, CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, via Wikimedia Commons

ベルクフリート、環状囲壁壁上部に、木製の歩廊が張り出すように取り付けられていることがあり、これを張り出し歩廊と言います。

城壁の内側からは壁をよじ登ってくる敵を狙うことはできませんが、外側に張り出していれば狙うことができます。

張り出していれば、何も弓矢だけでなく、熱湯や熱いピッチ、石など落とすことができます。

矢狭間・銃眼(Schießscharten)から敵を狙い撃ち

ギーヒブルク城(Giechburg)の矢狭間
ギーヒブルク城(Giechburg)の矢狭間

矢狭間から、敵に向かって弩や弓を放っていました。

日本の城の矢狭間に比べ、狙える角度が狭いような気がします。

城壁の間のツヴィンガー(Zwinger)

ホーエンナゴルト城(Hohennagold)のツヴィンガー
ホーエンナゴルト城(Hohennagold)のツヴィンガー
Frank Vincentz, CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, via Wikimedia Commons

城の種類や規模によっては、コンスタンチノープルのような複数の城壁システムがあることがあります。

二重三重の城壁がある場合、城壁と城壁の間の空間をツヴィンガーと言います。

このツヴィンガーでは、イヌやクマを飼ったり、家畜を収容することに使用されたりしていました。

ドレスデンのツヴィンガー宮殿は、このツヴィンガーだったところに宮殿を建てたのですが、ツヴィンガーと呼ばれていた場所の名前がそのまま宮殿名として残ったものです。

城壁の厚さと高さ

壁の高さと厚さは城の立地条件にやはり関係します。

岩山のような良い条件のところに作られた城は、平地に作られた城よりも当然薄くなります。

壁の厚さの平均値は約1.5mで、2m以上のものは全体の約8%です。

壁の高さが5m以下のものは見出されず、最高のもので約12mあります。

環状囲壁の構造

城壁構造は城の地勢条件に関係し、防備を固める必要性、付近の石材資源、城主の経済状況、石工の技術にも依存しています。

城の立地条件がよく、敵に攻められにくいところに建っている城は、それほど頑丈な構造にする必要はないため、単相構造になっています。

しかし立地条件が悪く、城壁の守備力を強化しなければならないようなところでは、当然のことながら壁が分厚くなるばかりではなく、二層、三層構造になっているのが普通です。

壁の厚さが1.5m以上のものは、たいてい多層構造です。

単相構造のものは12世紀後半、特にドイツ北部ではレンガ製のものが登場しました。

二層構造のものは、前面が方形の切石を使って壁が作られています。

三層構造のものは、前面と背面の間に瓦礫や砂利を詰めてモルタルを流し込んで固めていました。(意外と雑)

城壁を構成する石

背丸角石(Buckelquader)

背丸角石(Buckelquader)

シュタウフェン朝時代(1150-1250)に流行しました。

その辺の石ころを使って組上げるのとは違い、技術を持った石工を必要としました。高い技術を必要であるので、ドイツの石工のレベルは向上したと言われています。遠くから石材を運んでくる必要性も生じたため、建築費用が高くなってしまう欠点があります。

別名「ホーエンシュタウフェンの城壁」とも呼ばれていました。

ローテンブルク・オプ・デア・タウバー(Rothenburg ob der Tauber)のブルクガルテン(Burggarten)にある塔も、この石が使われているので、シュタウフェン朝時代のものであることが分かります。

腰巻壁(Mantelmauer)と盾城壁(Schildmauer)

腰巻壁と盾壁を、定義的に明確に区別することはできません。

腰巻壁とはどんな壁?

グレーフェンシュタイン城(Burg Gräfenstein)の腰巻壁
グレーフェンシュタイン城(Burg Gräfenstein)の腰巻壁
Gerd Eichmann, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons

城内の一部、または全体を守るため、特に高い環状囲壁のことを指して腰巻壁といいます。

ドイツ語では「マンテルマウアー」なのでかっこいい響きなのに、日本語では腰巻、英語ではシュミーズ(Chemise)と、ちょっと情けない名前になっている城壁です。

13世紀以降に登場し、環状囲壁を高くしただけの可能性もあります。

城壁に住宅などの建物が直接ついている(くっついている)ことが多い。

盾壁とはどんな壁?

グライフェンシュタイン城(Burg Greifenstein)の双塔と盾城壁
グライフェンシュタイン城(Burg Greifenstein)の双塔と盾壁
Elektroll, CC0, via Wikimedia Commons

盾壁は12世紀後半に一般的になりました。

とにかく高くて頑丈な城壁が、周囲の他の城壁と明らかに分離している場合、この城壁のことを盾壁とよびます。

盾壁は、主に攻撃を受ける側に建てられています。

盾壁は腰巻壁よりも分厚く、極端な場合には12mもの厚さがありました。

グライフェンシュタイン城は、双塔の間に盾壁がある、ベルクフリートと盾壁の融合型という珍しい塔&壁になっています。

おまけ

マリエンブルク(Marienburg)城の土塁
マリエンブルク(Marienburg)城の土塁
Clemensfranz, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons

「Ringwall」は環状囲壁と目的は同じですが、これは土塁になり、城壁とは区別されます。

日本の城にあるのは土塁だから、Ringwallになるのね。

まとめ

  • 環状囲壁は城や都市を囲み、内側を守る
  • 城壁の上には歩廊があり、胸壁や矢狭間から身を守りつつ敵を攻撃することができる
  • 壁の厚さは立地条件が悪いほど厚い
  • 背丸角石はシュタウフェン朝時代特有のもの
  • 腰巻壁や盾壁など、特に高い城壁もある

日本の城はこのような城壁ではなく、堀と土塁で守っているんだよ。城壁は石垣とも違うからね。

城壁の他にも、城を構成する要素はいろいろあるよ!

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